文学

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真夜中のたずねびと

昨夜は恒川光太郎の短編集「真夜中のたずねびと」を一気読みしました。 この作家の作品の多くが異界と現実を行き来するような幻想的なものですが、昨夜読んだ短編集は趣を異にしていました。 つまり、現実世界で起きるミステリーの要素が極めて強く、異界との繋がりはほんのわずかばかり示唆されるだけなのです。 また、一つ一つが独立した短編になってはいますが、ある作品の主人公が別の作品の端役で登場したりして、緩やかな連作と読むことが出来るようになっています。 幻想的な要素が満載の恒川作品を期待すると肩透かしをくらいます。 作家の作風は年とともに変わっていくものです。 この短編集を興味深く読みはしましたが、もしこの路線を突っ走るようなら、私はこの作者から離れていくような予感を覚えます。真夜中のたずねびと(新潮文庫)恒川光太郎新潮社
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躁鬱大学

昨夜は「躁鬱大学」という文庫本を一気に読みました。 現在は双極性障害と呼ばれ、かつては躁鬱病とよばれていた疾患を持つ人が書いた、双極性障害患者やその家族向けに書いたものです。 「カンダバシ語録」と言う物をテキストにして15回、双極性障害患者の生き方や物の考え方を講義する、という体裁を取っています。 ここでは著者は双極性障害という言葉は使わず、古い名称の躁鬱病と言っています。 これは躁鬱病のほうが実態に近い言葉であるからだろうと思います。 さらには躁鬱人と非躁鬱人という概念を作り出し、やや過激な書きぶりが面白く感じられます。  ・躁鬱病は病気というよりも一種の体質。  ・特有の滑らかな対人関係の持ちようは躁鬱病の証拠。  ・中高時代より好調と不調の時期があったはず。  ・躁鬱病の人は我慢するのが向きません。「この道一筋」は身に合いません。  ・一つのことに打ち込まず、幅広く色んなことをするのが良いでしょう。  ・気分屋的生き方をすると気分が安定する。  ・自分の気持ちが動いたものにふっと手を出す。  ・法に触れないことなら何でもしてみましょう。 これらはカンダバシ語録の一部です。 ただし...
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白昼夢の森の少女

昨日読み始めた恒川光太郎の短編集「白昼夢の森の少女」を今日の昼休みに読み終わりました。白昼夢の森の少女 (角川ホラー文庫)恒川 光太郎KADOKAWA 作者が後書きで書いていましたが、アンソロジー等に収載された短編を集めたものということで、バラエティーに富んでいました。 ほんの数ページの物から50ページほどの物、ホラー小説然としたものから私小説っぽい物。 いずれも興味深く読みました。 この作者、「スタープレーヤー」シリーズなど、長編も書いていますが、最も面白いのは短編から中編くらいの物なのだと思います。スタープレイヤー (角川文庫)恒川 光太郎KADOKAWA
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箱庭の巡礼者たち

もう4年前のことになりますか。 今の職階に上がるのとほぼ同時に、世界はコロナ禍に見舞われました。 私は悪い気にあたると、ひどく気分が落ち込む悪い癖があります。 コロナ禍の気も、非常に悪いものでした。 それに加えて昇任によるストレスが加わり、私は小説を読む気力を失ったのでした。 読書という悪癖から逃れられて幸せだ、なんて空元気を出していましたが、精神が一時的にせよひどく衰えたものと思います。 しかし最近コロナ禍も収まりつつあり、加えて今の職階にも慣れ、少しづつ気力が充実してきたところ、村上春樹の新作「街とその不確かな壁」が上梓され、これを読むことによって長く続いた小説を読まない生活を終わらせることが出来たように思います。街とその不確かな壁村上 春樹新潮社 今日は私が敬愛する作家、恒川光太郎の「箱庭の巡礼者たち」を読みました。箱庭の巡礼者たち (角川書店単行本)恒川 光太郎KADOKAWA この作家は「夜市」という小説でデビューし、私は衝撃を受けました。夜市 (角川ホラー文庫)恒川 光太郎KADOKAWA その後この人の小説を次々と読みました。 現実と異世界を行き来する人々の世界をイマジネ...
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街とその不確かな壁

昨夜、村上春樹の最新書下ろし長編「街とその不確かな壁」を読み終わりました。街とその不確かな壁村上春樹新潮社 小説を読むのはじつに久しぶりです。 私は自身をハルキストだとは思っていませんが、ほとんどの著作を読んでいるので、その気はあるのかもしれません。 数日前のブログで、この作品は2つの世界が同時並行的に語られ、最後に融合する、変形的なメリー・ゴーランド方式を取っており、初期の名作「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」との類似を認めたが、読む進むうちにそうではないと思った、という意味のことを書きました。 しかし読了して作者自身の手による後書きを読んだところ、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を意識して書いたことが明記されていました。世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫)村上春樹新潮社 私はこの重層的で魅力的な物語を高校生の頃に読みました。 その頃、ぼんやりと将来は物語を紡ぐ人になりたいと思っていたのですが、この作品を読んで、こういう物語を書ける人がいるのなら私が物語作者になる意味はないのではないかと思ったことを覚えています。 それほど...
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虚構と夢

今日はどんよりと曇って風は無いながら底冷えのする一日となってしまいました。 朝はいつもどおり6時には起きて、休日恒例の朝湯に浸かってハムエッグと白飯の朝食を食いました。 外出することもなく、久しぶりに読書をしました。 村上春樹の新作「街とその不確かな壁」です。街とその不確かな壁村上春樹新潮社 ハードカバーで660ページの長編で、もう少し若ければ一日で一気に読んでしまったと思いますが、読書をするにも精神の若さが必要で、衰えた私には半分読むのがやっとでした。 残りの半分はこれからの楽しみに取っておきたいと思います。  最初は村上春樹の初期の名作「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」との類似を認めましたが、読み進むうちにそれは誤りであることに気付きました。世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫)村上春樹新潮社 まぁ感想は読み終わってからのことにしましょう。 30代半ばまではいつも読みかけの小説があって、小説を読むのは飯を食うようなものでした。 うつ病を発症してから読書という悪癖から解放され、小説を読む頻度は減りました。 それはなんだか爽やかな気分でした。...
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白梅

なぜだか分かりませんが、今朝は正午近くまで眠ってしまいました。 私はどちらかというと朝型人間なのですが、珍しいこともあるものです。 昨夜の酒量はいつもどおりで、深酒したわけでは無いのですが。  12時近くに起きて、最近近所に出来たラーメン屋にお昼を食べに出かけました。 私はこってりした油ぎとぎとのラーメンは苦手であっさりした塩ラーメンを好むのですが、この店、私の好みにドンピシャで、あっさり醤油とあっさり塩しか置いていません。 嬉しい開店です。 昼食後、腹ごなしに近所を小一時間散歩しました。 途中、見事な白梅が咲いていました。 もう春なんですかねぇ。 しら梅に 明くる夜ばかりと なりにけり  敬愛する俳人、与謝蕪村の辞世です。 白梅と春の訪れを寿いでいるわけですが、私はうがった解釈をしていて、白梅ばかりの夜=あの世を暗示しているように思えてなりません。 辞世ですし。蕪村句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)与謝 蕪村KADOKAWA 私は初春を寿ぐような気持ちの余裕は無く、迫りくる年度末の殺人的忙しさに震え慄いています。 32年働いても年度末の忙しさには慣れることが出来ません。  神経...
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年の瀬

今日から6日間の年末年始の休暇に入りました。 初日の今日はまずは大掃除。 とは言ってもリフォーム直後で、しかもリフォームに併せてお掃除本舗に換気扇、エアコン、サッシの掃除を依頼し、すでに済ませていたので、どうということはありません。 念入りに掃除機をかけ、テレビ台や箪笥などの台になっている部分を拭き、風呂、キッチン、洗面所等の水回りを磨いたくらいです。 9時に始めて11時前には終わりました。 広くもない4LDKのマンションに大人二人で住んでいるので、そんなに汚れることもありません。  お昼は近所に最近出来たあっさり塩とあっさり醤油だけのラーメン屋で塩ラーメンを食しました。 私も同居人もラーメンはあっさり系が好みなので、嬉しいかぎりです。 有名な家系とか二郎系とかのこってりラーメンは一度も食べたことがありません。 その後しばし昼寝。 14時頃に起きて、そごう千葉店に出かけました。 私の実家に持っていくお年賀の赤白のワイン、自宅用の栗焼酎を購入。 普段は米焼酎を飲んでいますが、栗焼酎はブランデーのような甘い香りと芳醇な味わいが楽しめる逸品で、私の好みです。 さらに正月用のお花を買いました。...
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秋の酒

なんだか急に寒くなってきました。 秋がほとんど無いまま冬が訪れようとしています。 この季節、燗酒や焼酎のお湯割りが旨いため、つい飲みすぎてしまうこともあります。 しかしかつてのような無茶な飲み方をしなくなったというか出来なくなったため、二日酔いになるほど呑むことはありません。 白玉の 歯にしみとおる 秋の世の 酒は静かに 呑むべかりけり このブログで秋になると一度は紹介している敬愛する歌人、若山牧水の短歌です。若山牧水歌集 (岩波文庫)一彦, 伊藤岩波書店 コロナになってからほぼ宴会は無くなり、宴会が好きという人はあまりおらず、ましてや職場の宴会など苦痛でしかありません。 仕事だと思って嫌々出席するというのが多くの人の本音なのではないかと思います。  本当に呑みたい酒は独りで、あるいは気の合う数人で呑むものと決まっています。 今宵も同居人と二人だけの酒を楽しみたいと思います。
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失われた時

3連休あけの月曜日。 気分が良かろうはずがありません。 辛い一日を無事乗り越えました。 それはさておき。 阪神タイガースが38年ぶりに日本一に輝いたそうですね。 38年前と言えば私は16歳。 ずいぶん長いこと日本シリーズ制覇から遠のいてたのですね。 私が16歳の時、阪神ファンは道頓堀に飛び込んだり、自転車やカーネルサンダースを道頓堀に放り投げたり、やりたい放題でした。 正直、テレビで見るそれらの光景は不快でした。 16歳といえば、精神の漂流が始まった頃でした。 日々の憂鬱な感情は常態化し、時折来る激しい高揚感に戸惑っていました。 考えてみればその頃から躁鬱気質だったのかもしれません。 表面上は楽し気に過ごしているように繕っていましたが、実際は真逆でした。 青春の憂鬱と言うんでしょうか。 一匹狼と言うほどではありませんでしたが、私は群れることが嫌いで、中学、高校、大学と、部活動やサークル活動は一切しませんでした。 親しい友人は少しいましたが、基本的に一人を好みました。 そのため私は結婚を決めるその瞬間まで、生涯独身でいようと思っていました。 しかし縁というのは不思議なもので、なんとなく付...
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今日は中秋の名月。 あいにく千葉市の空は曇り模様。 お月見というわけにはいかないようです。 春は憂いの季節であり、秋は物思いの季節。 人にとって過ごしやすい季節にメランコリーに沈むのはなぜでしょうね。 暑くも寒くもない季節は、心に余裕が生まれて、無駄に感傷的になるのかもしれません。 秋と言えば古い話で、1985年、私が高校一年生の秋に阪神が日本一になり、バカ騒ぎする関西の方々をテレビで見て、この狂乱は季節が生んだのではなかろうかと感慨深く感じたことを思い出します。 機会をとらえて憂いを吹き飛ばそうとでもするかのように。 月と言えば言わずと知れた大江千里の百人一首の短歌、月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねどが思い浮かびます。 「古今和歌集」に見られます。新版 古今和歌集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)高田 祐彦KADOKAWA また、「海潮音」に見られるヴェルレーヌの詩に、「落葉」があります。 秋の日のヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。 鐘のおとに胸ふたぎ 色かへて涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。  げにわれは うらぶれて ここか...
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夢幻の城

暑さ寒さも彼岸までとか申します。 彼岸を過ぎて、ぐっと涼しくなりました。 季節は着実に秋、さらには冬に向かっているようです。 私は車通勤なので、あまり暑さ寒さを感じずに済んでいます。 しかし高校、大学と23区のなかでは田舎とも言える江戸川区から渋谷区に通学し、どちらも最寄り駅から徒歩15分ほどかかったので、夏は暑く冬は寒い、しかしだからこそ季節を感じられる日々でした。 最近、やたらと高校、大学の時にもっと勉強していれば良かったとか、一切やらなかったサークル活動をやっておけば良かったという思いに駆られます。 人生の重要な時期に、私はその時にしか出来なかったであろうことをやらずに、独りで幻想的で耽美的な芸術作品の中に逃げ込み、奇妙な世界で生きていたように感じます。 永遠にそういう世界で生きられればそれが良かったのでしょうが、数年後に就職して、そんな夢のような世界で生きることは不可能で、困難でつまらぬ仕事に精を出し、時には大残業や完徹をもこなさなければならないということを思い知らされました。  すまじきものは宮仕えと言いますが、本当にそうですね。 しかしすまじきものをやらなければ、収入が得ら...
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1969年の7月20日、アポロ11号は月に到着しました。 1969年8月22日が私の誕生日ですので、私が生まれる少し前に人類は月に降り立ったわけです。 私の生まれ年と一緒というのは、どうでもいいことかもしれませんが、感慨深く感じます。 関係ありませんが、私が愛する「男はつらいよ」シリーズが始まったのもこの年です。男はつらいよ HDリマスター版(第1作)渥美清 その時から54年。 54年前、NASAの偉い人は「50年後には月のホテルでカクテルを飲んでいるさ」と嘯いたそうですが、54年経っても宇宙開発は停滞したままです。 多分金ばかりかかって利益が少ないからでしょうね。 1969年と言えば東西冷戦の真っ最中。 米国もソビエト連邦も、利益を度外視した宇宙開発を意地だけで競っていたものと思われます。 きれいなお月様を眺めると、本当にあそこに降り立った人がいたのかと、不思議な気持ちになります。 アポロ11号の搭乗員の他にも、宇宙飛行士はたくさんいます。 立花隆の著作に、彼らのその後を追った「宇宙からの帰還」というドキュメンタリーがあります。宇宙からの帰還 新版 (中公文庫)立花隆中央公論新社 大...
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明日

本来、家事は日曜日と決めていますが、明日出かけることになったため、今日、掃除、洗濯、買い物を済ませました。 明日は宮内庁書陵部に勤める知り合いから雅楽のチケットをもらったため、観に行くことになったのです。 場所は皇居。 チケットは売り物ではなく、宮内庁と縁がある人しか招待されない仕組みです。 そのため、チケットの他に本人確認用の免許証と、勤務先の勤務証明が必要です。 住所も詳らかにしなければなりません。 秋には先着順で一般の方向けの公演をやっているそうですが、明日のは関係者だけ。 なんとなく、淫猥な感じがします。 雅楽及び舞なんて、そう観る機会はありません。 神式の結婚式などではほんのさわりだけ観ることができますが、明日は中卒で雅楽師になるため、宮内庁に弟子入りした者だけの、本格の公演です。 時折テレビで観ることがありますが、生で観るのはもちろん初めて。 楽しんでこようと思います。
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時の時

今日は月曜日ですが、明後日から連休のためか、それほど沈んではいません。 私の職場はカレンダーどおりのお休みなので、休暇を取らない限り、今日明日は出勤しなければなりません。 しかも明日は私が主担当の重要な会議があり、この会議の委員は休暇が取れません。 毎月第1火曜日に行うのですが、連休中くらい会議を先送りしても良いと思いますし、多くの出席者がそう思っているものと推測しますが、なかなか言い出せません。 と言うか、私のような空気を読まない(読めないのではなく、読んだうえで逆の行動に出る)者でも、第1火曜日と決まっているがゆえに、スケジュールをすでに入れており、他の日に移されたら困る、という人もいて、それは正論なので、それを言われちゃ何も言えません。 職場では今日、明日休暇を取って大型連休を楽しんでいる者も少なからずおりますが、私はそうはいかないというわけです。 サラリーマンの辛いところです。 最近、私は仕事が忙しいほうがが気持ち的に落ちつくようになりました。 あれほど仕事を毛嫌いしていたのに。 ついに私も仕事人間になってしまったのでしょうか。 私は定年退職の日を心待ちにしていますが、世間で聞...
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